在留資格の各種申請書には、犯罪による処分有無を記入する欄があります。

在留資格認定証明書交付申請書の場合

犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(日本国外におけるものをふくむ)※交通違反等による処分も含む。

しかし、交通違反と一口で言っても反則金(行政罰)で済むものもあれば、罰金(刑事罰)に該当するものもあります。実際、依頼者から「犯罪はもちろん無いが、車を運転中に交通違反で警察に捕まったことはある・・。何を書けばいい?」という質問がよくあります。
本記事では、実務経験にもとづき、どこまで記載すべきかを分かりやすく整理します。

“犯罪を理由とする処分”とは?

結論から言うと、罰金を受けた場合は記入する必要があります。反則金で済んだ場合は記入しなくてもかまいません。無論、記入しても問題ありません。
記入例:何年何月、東京中央区〇〇でキックボードの信号無視で6,000円の反則金

罰金反則金
法的正確刑事罰行政罰(行政上の制裁金)
違反の程度比較的重大な交通違反比較的軽微な交通違反
適用される制度裁判所の判決交通反則通告制度(青キップ等)
前科の有無つくつかない
金額裁判で決定違反の種類ごとに定め

罰金(刑事罰)は必ず記載する

罰金は「前科」に該当し、入管法では重い意味を持ちます。次のようなケースは必ず記入が必要です。

  • 略式命令による罰金
  • 裁判所が科した罰金
  • 過失事故・酒気帯び・無免許運転などで罰金処分を受けた場合

これを記載しなかった場合、虚偽申請に近い扱いとなり、更新不許可や永住不許可の重大な理由になり得ます。

反則金(行政罰)は必ずしも記入する必要はない。記入してもOK

次のような反則行為は行政罰であり、刑事罰(前科)にはあたりません。

  • 一般的なスピード違反
  • 信号無視
  • シートベルト違反
  • 一時停止違反など

行政罰・反則金については、記入しなくても実務上問題になることはほとんどありません。通常の更新申請で、軽微な行政罰を書かなかったからといって不許可になるケースは稀です。

過去何年前まで記入する必要?

過去何年前までという限定はありませんので、日本国内・国外を問わず、該当する場合は全て記入してください。

通常の更新申請と永住申請

この犯罪の項目欄は、永住申請においても記入箇所があります。しかし、永住申請では「※交通違反等による処分も含む。」との文言がありません。

永住許可申請書の犯罪項目の欄

なぜなら、永住審査では「素行が善良であること」という基準から犯罪歴、交通違反、軽微な罰金、納税、在留状況など申請者の過去すべてを審査対象とするからです。
つまり、入管からすれば永住の審査では、当然あなたのことを全部教えてもらいますよ。ということです。

申請書の注意書き追加の背景

これまで、申請者が「交通違反は軽いから書かなくてよい」と判断し、処分歴欄を空欄にするケースが散見されました。
しかし、交通違反の中には略式命令による罰金刑(刑事罰)が含まれる場合があり、これを記載しないことで後の更新審査や永住審査で不利になる可能性がありました。こうした誤解を防き、「書き漏れによるリスク」を減らす目的で注意書きが追加されたと考えられます。

まとめ:迷ったら記載しておく

行政罰(反則金)は記載義務の対象ではありませんが、永住申請を予定している場合は記載推奨。また、記載すべきかどうかを迷う場合は記載しておくほうが安全です。

この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ] 東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他

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