新しい在留資格である「特定技能」の制度がスタートしてから2週間。
外食業や宿泊業の分野では、技能試験が実施されたり、日本語学校が急増したり、色んな場面で活発な動きが起きてますね。
お客さんとの話でも「技能実習」と「特定技能」って何がどう違うの?ってよく話になりますので、今回はそんな両者の主な違いについて。

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「技能実習」は国際貢献という趣旨
まず、前提として「特定技能」と「技能実習」はその成立した背景が全く違います。実情はどうあれ一応別物です。
「技能実習」は、国際協力推進のために日本の技能、技術、知識を伝える。という国際貢献の建前が前提であるため、原則単純作業などには従事できないものとされています。
「特定技能」は労働力の確保が趣旨
一方、新しい在留資格「特定技能」は、人手不足でどうにもならない業種は外国人の手を借りて補おう。という趣旨です。
「技能実習」の建前に隠されていた本音が全面に出されたものです。
制度的には似た部分も
「技能実習」と「特定技能」は、別物であるとは言いつつも、似通った部分も多いです。
両者を比較するには、一般的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」もあると分かり易いと思います。
技術・人文知識 ・国際業務 | 技能実習 (団体管理型) | 特定技能 | ||
---|---|---|---|---|
1 | 学歴・職歴 との関係 | 有り | 有り ※前職要件など | 無し |
2 | 契約形態 | 直接雇用/派遣/委任/委託/請負 | 直接雇用 | 直接雇用/一部派遣 ※1 |
3 | 業務範囲 | 【技術・人文知識】 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務 | 1号→全ての範囲 2号→移行対象職種のみ 3号→移行対象職種のみ | 14分野 ※2 |
4 | 技能試験の有無 | 無し | 有り ※1号→基礎級 ※2号→3級 ※3号→2級 | 有り ※技能実習2号の次の段階という位置付けの試験 |
5 | 家族の帯同 | 可能 | 1号→不可能 2号→不可能 3号→不可能 | 1号→不可能※3 2号→可能 |
6 | 永住申請への 参入期間の可否 | 可能 | 不可能 | 1号→不可能 2号→可能 |
7 | 日本語試験の有無 | 無し | 一部有り ※4 | 有り |
8 | 在留期間の上限 | 無し | 有り(最大5年) | 1号→5年 2号→無し |
9 | 転職の自由 | 有り | 有り※5 (同一分野に限る) | 有り (同一分野に限る) |
10 | 更新と社会保険 | 原則加入 | 原則加入 | 不払いの場合、更新不可 |
11 | 給与の金額 | 日本人と同等 | 日本人と同等 | 日本人と同等 |
12 | 高度専門職への 変更可否 | 可能 | 1号→不可能 2号→不可能 3号→不可能 | 1号→不可能 2号→可能 |
13 | 雇用先や関係機関 | 公私の勤務先 | 公私の勤務先 +管理団体 +外部監査人 +送り出し機関 +準備期間 | 公私の勤務先(特定技能所属機関) +登録支援機関 +協議会 |
14 | 初期費用 | 基本的にゼロ | 入国前の講習費用(技術+日本語勉強) +入国後の補習費用 | 入国前の講習費用(技術+日本語勉強) +試験費用 |
15 | 雇用以外に 要する費用 | 基本的にゼロ | 監理費用 +外部監査への報酬 | 協議会への登録費、年会費 +入国後の日本語勉強支援費 +通訳・翻訳費用 |
16 | 雇用関係以外 での対応 | 特になし | 宿泊施設の確保 | 空港までの送迎、賃貸借契約の保証人、協議会への対応※6 |
※1 派遣は農業と漁業のみ
※2 14分野には、1.介護業、2.ビルクリーニング業、3.素形材産業、4.産業機械製造業、5.電気・電子情報関連事業、6.建設業、7.造船・船用工業、8.自動車整備業、9.航空業、10.宿泊業、11.農業、12.漁業、13.飲食料品製造業、14.外食業があり、「特定産業分野」といいます。
※3 留学生などで配偶者や子どもを家族滞在で在留させている方も原則認めないとされています。
※4 入国時→N4レベル
※5 会社が廃業した場合や実習ができない場合等、やむを得ない事情がある場合。
※6 協議会への協力に関しては、各分野によって異なりますが、一例として、特定技能外国人の受入れ状況の全体的な把握のための就業状況の情報や分析の提供等。
1.特定技能の【介護分野】に関する運用方針
2.特定技能の【ビルクリーニング分野】に関する運用方針
3.特定技能の【素形材産業分野】に関する運用方針
4.特定技能の【産業機械製造業分野】に関する運用方針
5.特定技能の【電気・電子情報関連産業分野】に関する運用方針
6.特定技能の【建設分野】に関する運用方針
7.特定技能の【造船・舶用工業分野】に関する運用方針
8.特定技能の【自動車整備分野】に関する運用方針
9.特定技能の【航空分野】に関する運用方針
10.特定技能の【宿泊分野】に関する運用方針
11.特定技能の【農業分野】に関する運用方針
12.特定技能の【漁業分野】に関する運用方針
13.特定技能の【飲食料品製造業分野】に関する運用方針
14.特定技能の【外食業分野】に関する運用方針
個人的には、色々思うところもありますけど、まず特定技能の外国人受け入れは決して安くは済まないということ。
13~16にあるように結構色んなコストが発生します。
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この記事を書いた人

- 行政書士Office ITO 代表
-
IT業界で15年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年,行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ]
東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次届出行政書士)
他
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