特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の中のひとつ航空分野について。

航空分野の運用方針

特定技能外国人を航空分野へ受け入れる趣旨と目的

深刻化する航空分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした現場に即戦力として就労する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

政府の目標として訪日外国人旅行者の数を2020年に4,000万人、2030年には6,000万人に達成させることが掲げられていることからも、航空分野に関する一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることは、観光立国を目指す日本にとって必要不可欠といえます。

航空分野の人手不足の状況

航空分野の即戦力ともいえる航空専門学校の入学者数は、近年定員割れが常態化していて、更には整備士の高齢化等による大量退職も始まってきています。
実際、平成29年度の有効求人倍率は4.17倍という高い数値となっていて5年後には、8,000人の人手不足が生じると見込まれています。

有効求人倍率とは
簡単にいうと、1より大きくなると仕事の数の方が多く、働き手が足りない状況。
1を切ると、求職者の方が多く、仕事探しが困難な状況。

航空分野への人材確保の必要性

航空分野の業務は日本全国の空港で行われているところ、近年の外国人観光客の増加に伴うLCC(格安航空会社)による旅客機の増便などから、地方空港の国際線旅客数は過去5年間で約2.5倍に増加し日本の航空需要は拡大を続ける一方で、多くの労働力を要する空港業務に携わる人手は年々減少しており、人手不足が深刻化していくことが見込まれています。

また、物流の面でいえば航空輸送の分野は日本の経済社会と国民生活を支える基盤でもあるため、航空分野の人材確保は極めて重要とされています。

受入れ見込数

航空分野における向こう5年間の受入れ見込数は、最大2,200人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用するとされています。

人手不足の数だけにフォーカスすれば、向こう5年間で8,000人が足りないとされている中、今回の受入れでは、実際の労働効率化なども考慮して5年間で最大2,200人を受け入れるに留まるとされているので、決して過大な受け入れとはなっていないといえます。

見込み数を超えそうな場合は

懸念される部分の一つですが、もしこの分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

航空分野に求められる人材基準

航空分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。

また、航空分野の第2号技能実習を修了した者も必要な技能水準と日本語能力水準を満たしているものとして取り扱うとされています。

1.技能水準(試験区分)

ア.「航空分野技能評価試験(仮称)(空港グランドハンドリング)」

イ.「航空分野技能評価試験(仮称)(航空機整備)」

2.日本語能力水準

「日本語能力判定テスト(仮称)」

又は

「日本語能力試験(N4以上)」

その他、航空分野の運用方針に関する重要事項

1号特定技能外国人が従事する業務

1号特定技能外国人が従事する業務区分は、上記の試験区分に対応し、それぞれ以下の区分に掲げる業務とする。

ア.空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)

イ.航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)

特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件
  1. 空港管理者により空港管理規則に基づく当該空港における営業の承認等を受けた事業者若しくは航空運送事業者又は航空法に基づき国土交通大臣の認定を受けた航空機整備等に係る事業場を有する事業者若しくは当該事業者から業務の委託を受ける事業者であること。
  2. 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する協議会の構成員になること。
  3. 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
  4. 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
  5. 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記イ、ウ及びエの条件を満たす登録支援機関に委託すること。
特定技能外国人の雇用形態

原則直接雇用に限る。

治安への影響を踏まえて講じる措置

国交省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。

特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる

以上です。

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この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年,行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ]
東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他

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