特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の中のひとつである電気・電子情報関連産業分野について。
Contents
電気・電子情報関連産業分野の運用方針
特定技能外国人を電気・電子情報関連産業分野へ受け入れる趣旨と目的
深刻化する電気・電子情報関連産業分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした現場に即戦力として就労する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

電気・電子情報関連産業という分野は、幅広い電子機器へ部品を供給するために必要であり、日本の製造業の根幹を担っているといっても過言ではありません。そんな日本にとって不可欠な分野であるからこそ、この分野の即戦力の外国人を受け入れていくこが、日本の産業基盤を維持して発展していくために必要不可欠だとされています。
電気・電子情報関連産業分野の国内人材確保のための取組
そんな重要分野なので、人手不足に直面している各企業も人材確保のため様々な取組を行っています。
- 社外のシニアやベテラン人材、主婦層を含む、女性の採用強化
- 多様で柔軟な働き方を実現するための職場環境の整備
- 専門性が高くモチベーションある社員の 65歳以降の継続雇用
- 女性が永年勤務しやすい人事制度整備
などなど。
また、政府である経産省もそういった企業の取組をバックアップする活動を行っています。
電気・電子情報関連産業分野への人材確保の必要性
この分野の需要が拡大する大きな要因として、まず一番最初に挙げられるのはやはり何といってもEV(電気自動車)があるからでしょう。
今や主要国がしのぎを削って技術革新を競って争うEV事業は、もはや企業間だけの争いではなく国家のメンツもかかっています。
そんな自動車の電動化に伴う電子部品需要の増加等により需要が拡大する中、平成29年度の電気・電子情報関連産業では毎年約7,000人の人手が足りていない状況です。更に5年後には電気・電子情報関連産業の需要拡大から約6万2,000人の人手不足が生じる計算もでています。
電気・電子情報関連産業分野に関連する職業分類における有効求人倍率(平成29年度)は2.75倍となっており、この分野に関連するプラスチック製品・製造工は3.70倍、製品包装作業員は3.60倍、金属溶接・溶断工は2.50倍となっている等、関連分野もあわせて軒並み深刻な人手不足の状況になっていることが分かります。
簡単にいうと、1より大きくなると仕事の数の方が多く、働き手が足りない状況。
1を切ると、求職者の方が多く、仕事探しが困難な状況。
しかも、前述のとおり電気・電子情報関連産業分野に対する需要が高まることが見込まれる一方で、人手不足が早急に改善できる見通しは立っていない状況にあります。
受入れ見込数
電気・電子情報関連産業分野における向こう5年間の受入れ見込数は、最大4,700人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用するとされています。
向こう5年間で6万2,000 人程度の人手不足が見込まれる中、今回の受入れでは、5年間で最大4,700人という数値なので決して決して過大な受入れ数とはいえないでしょう。
見込み数を超えそうな場合は
懸念される部分の一つですが、もし当分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

電気・電子情報関連産業分野に求められる人材基準
電気・電子情報関連産業分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。
※電気・電子情報関連産業分野を修了した者も要件を満たすとされています。
なお、素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野の3分野においては、製造現場で従事する業務の多くが共通していることから、技能水準及び評価方法等を統一し、「製造分野特定技能1号評価試験(仮称)」として共通の評価試験を実施することも決まっています。
1.技能水準(試験区分)
製造分野特定技能1号評価試験(仮称)
項番 | a.試験区分 | b.業務区分 |
---|---|---|
1 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(機械加工) | 機械加工(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、旋盤、フライス盤、ボール盤などの各種工作機械や切削工具を用いて金属材料等を加工する作業に従事) |
2 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(金属プレス加工) | 金属プレス加工(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて、曲げ、成形、絞り等を行い成形する作業に従事) |
3 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(工場板金) | 工場板金(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、各種工業製品に使われる金属薄板の加工・組立てを行う作業に従事) |
4 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(めっき) | めっき(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、腐食防止等のため金属等の材料表面に薄い金属を被覆する作業に従事) |
5 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(仕上げ) | 仕上げ(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、手工具や工作機械により部品を加工・調整し、精度を高め、部品の仕上げ及び組立てを行う作業に従事) |
6 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(機械保全) | 機械保全(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全する作業に従事) |
7 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(電子機器組立て) | 電子機器組立て(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、電子機器の組立て及びこれに伴う修理を行う作業に従事) |
8 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(電気機器組立て) | 電気機器組立て(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、電気機器の組立てや、それに伴う電気系やメカニズム系の調整や検査を行う作業に従事) |
9 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(プリント配線板製造) | プリント配線板製造(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、半導体等の電子部品を配列・接続するためのプリント配線板を製造する作業に従事) |
10 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(プラスチック成形) | プラスチック成形(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、プラスチックへ熱と圧力を加える又は冷却することにより所定の形に成形する作業に従事) |
11 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(塗装) | 塗装(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、塗料を用いて被塗装物を塗膜で覆う作業に従事) |
12 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(溶接) | 溶接(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、熱又は圧力若しくはその両者を加え部材を接合する作業に従事) |
13 | 製造分野特定技能1号評価試験(仮称)(工業包装) | 工業包装(指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、工業製品を輸送用に包装する作業に従事) |
2.日本語能力水準
「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」
その他、電気・電子情報関連産業分野の運用方針に関する重要事項
1号特定技能外国人が従事する業務
1号特定技能外国人が従事する業務区分は、上記の試験区分に対応し、業務区分の欄に掲げる業務とする。
特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件
- 特定技能所属機関は、「製造業外国人材受入れ協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
- 特定技能所属機関は、協議会が行う一般的な指導、報告の徴収、資料の要求、意見の報告又は現地調査等その他に対し、必要な協力を行うこと。
特定技能外国人の雇用形態
原則直接雇用に限る。
治安への影響を踏まえて講じる措置
経産省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。
特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる
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この記事を書いた人

- 行政書士Office ITO 代表
-
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年,行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ]
東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他
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