高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇措置制度が改正され、ポイント対象となる加算措置が見直された結果、より多くの外国人の方が「高度専門職」の在留資格に該当し易くなっています。

さらに、高度外国人材として認められた方(70点以上のポイント)については永住許可申請に要する在留期間が現行の5年から3年へと短縮される措置のほか、特に高度と認められる方(80点以上のポイント)については永住許可申請に要する在留期間を1年とする世界最速級となる「日本版高度外国人材グリーンカード」が創設されました。

「高度人材ポイント制」の改正前と改正後の比較

まずは入管の新旧リーフレットで比較

 
平成27年4月1日改訂版
平成29年4月26日改訂版

※リーフレット出典元:法務省入国管理局

(平成27年4月1日の古いリーフレットは、入管のサイトから無くなっていたので自前のモノしかありませんでした。ご了承ください

「高度人材ポイント制」改正後の主な変更点(加算措置)

新旧リーフレットの表面は全く同じですが、H29年4月改訂版の裏面ポイント計算表で黄色にマーカーされた部分が今回、加算措置として加わった部分です。

カテゴリー毎の加算措置ついてそれぞれみていきます。

学歴カテゴリー

 高度学術研究活動
在留資格「高度専門職1号(イ)」
高度専門・技術活動
在留資格「高度専門職1号(ロ)」
高度経営・管理活動
在留資格「高度専門職1号(ハ)」
学歴大学を卒業し又はこれと 同等以上の教育を受けた者(博士号又は修士号取 得者を除く。)※110複数の分野において,博士号,修士号又は専門職学位を有している者 ※2複数の分野において,博士号,修士号又は専門職学位を有している者 ※2
複数の分野において,博士号,修士号又は専門職 学位を有している者 ※2
※1 高度学術研究分野における大卒者等への加算 → 10点
旧制度では,「高度学術研究分野」の学歴は修士以上が加算対象となっているところ,他の分野と 同様に「大学を卒業し,又はこれと同等以上の教育を受けた」者についても加算の対象となりました。
※2 複数の修士号又は博士号を取得した者に対する加算 → 5点
旧制度では,複数の学位を取得している場合には,最も上位の学位を基準に加算しているところ, 複数分野の専門性を持つ者(複数の博士号又は複数の修士号)について特別加算の対象となりました。

 ボーナスカテゴリー

 高度学術研究活動
在留資格「高度専門職1号(イ)」
高度専門・技術活動
在留資格「高度専門職1号(ロ)」
高度経営・管理活動
在留資格「高度専門職1号(ハ)」
ボーナス9日本語能力試験N2取得者(注5)(ボーナス⑦又は⑧のポイントを獲得した者を除く。)10日本語能力試験N2取得者(注5)(ボーナス⑦又は⑧のポイントを獲得し た者を除く。)10日本語能力試験N2取得者(注5)(ボーナス⑦又は⑧のポイントを獲得し た者を除く。)10
ボーナス10成長分野における先端的事業に従事する者(法務 大臣が認める事業に限 る。)10成長分野における先端的事業に従事する者(法務大臣が認める事業に限 る。)10成長分野における先端的事業に従事する者(法務大臣が認める事業に限 る。)10
ボーナス11法務大臣が告示で定める大学を卒業した者10法務大臣が告示で定める大学を卒業した者10法務大臣が告示で定める大学を卒業した者10
ボーナス12法務大臣が告示で定める研修を修了した者(注6)法務大臣が告示で定める研修を修了した者(注6)法務大臣が告示で定める研修を修了した者(注6)
ボーナス13 ー   ー 経営する事業に1億円以上の投資を行っている者

ボーナス9について

一定の水準の日本語能力(日本語能力試験N2程度)を有する者への加算 → 10点
旧制度では,日本語能力試験N1取得者又は外国の大学において日本語を専攻して卒業した者に対して特別加算の対象としているところ,日本語能力試験N2取得者についても特別加算の対象とされました。(ポイントはN1が15点に対し,N2は10点とする) 。
ただし,本邦に留学経験がある者及び外国の大学において日本語を専攻して卒業した者としてポイントを得た者への重複加算は認められません。

ボーナス10について

成長分野(IT等)において所管省庁が関与する先端プロジェクトに従事する人材に対する加算 → 10点
各省が関与する成長分野の先端プロジェクトに従事する人材について,特別加算の対象となりました。

ボーナス11について

トップ大学卒業者に対する加算 → 10点
以下のいずれかの大学の卒業者(当該大学の大学院の修了者を含む。)について,特別加算の対象となりました。

①世界の権威ある大学格付3機関(クアクアレリ・シモンズ社(英国),タイムズ社(英国),上海交通大学(中国))の大学ランキングのうち2つ以上において300位以内の大学

②文部科学省が実施するスーパーグローバル大学創成支援事業(トップ型)において,補助金の交付を受けている大学

③外務省が実施するイノベーティブ・アジア事業において,「パートナー校」として指定を受けている大学

ボーナス12について

ODAを活用した人材育成事業の修了者に対する加算 → 5点
日本政府のODAを活用し,外務省が実施する「イノベーティブ・アジア(Innovative Asia)」事業 に基づく本邦での研修(研修期間1年以上)を修了した学生について,特別加算の対象となりました。

ボーナス13について

高額投資家に対する加算 → 5点
「高度経営・管理活動」に従事する者が,自己の経営する事業に対して,高額な投資(1億円以上の投資)を行っている場合について,特別加算の対象となりました。

高度人材ポイント計算の例

比較的分りやすい活動類型である「高度専門職1号(ロ)」に該当する高度専門・技術活動を例にポイントの計算をしてみます。

事例1
・IT企業で就労中の韓国人のAさん(29)は、日本の大学を卒業後、日本で就職をした。在留資格は「技術・人文知識・国際業務」であり、今の会社は4年目で年収は500万円程ある。日本語はかなり上手く日本語検定のN1をとっている。

この場合、Aさんの狙う在留資格は「高度専門職1号(ロ)」の高度専門・技術活動に該当すると判断し、各カテゴリーからポイント計算を行います。

学歴カテゴリー 「大学を卒業している」          → 10点
職歴カテゴリー 「勤続3年以上5年未満」         →  5点
年収カテゴリー 「29歳で500万円~600万円未満」  → 15点
年齢カテゴリー 「~29歳」               → 15点
ボーナス7   「日本の大学を卒業している」=学位を取得 → 10点 
 ボーナス8   「日本語能力試験N1取得」        → 15点

合計70点となるので、高度人材と認定される可能性があります。

Aさんが優秀な人材であることは間違いありませんが、当事例を参照すると今回の改正により、70点というポイント取得が非常に高いハードルとなっているわけではないことが分かります。高度専門職という在留資格は、もはや一部のエリートのみを対象とした制度ではありません。

続いて、在留している中国人の方に多いケースとして経営・管理で10年以上会社を経営している事例のポイントを計算します。

事例2
・日本で物販会社を経営している中国人のBさん(43)は、本国で北京大学を卒業して10年前に日本で起業した。日本語はカタコトでしか話せないが、業績は好調で年収は1600万円程ある。

この場合、Bさんの狙う在留資格は「高度専門職1号(ハ)」の高度経営・管理活動に該当すると判断し、各カテゴリーからポイント計算を行います。

学歴カテゴリー 「大学を卒業している」          → 10点
職歴カテゴリー 「会社を10年以上経営」         → 25点
年収カテゴリー 「1500万円~2000万円未満」    → 20点
年齢カテゴリー 「高度経営・管理分野」にはない      →  0点
 ボーナス2   「代表取締役である」           → 10点
ボーナス11  「北京大学を卒業」=ランキング39位   → 10点 

合計75点となるので、高度人材と認定される可能性があります。

高度人材と認定されるために、まずは70点以上を目指すことが重要となりますが、今回の改正では80点以上で特に高度な人材として認められる措置も加わっています。したがって70点とれればOK!
ではなく、80点とれる可能性があるならばそれを目指すことにも大きな意義があります。

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この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ]
東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他

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