特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の中のひとつである造船・舶用工業分野について。

造船・舶用工業分野の運用方針

特定技能外国人を造船・舶用工業分野へ受け入れる趣旨と目的

深刻化する造船・船用工業分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした現場に即戦力として就労する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

なお、足元の人手不足の状況については、現時点で6,400人の人手不足が生じていると推計されています。

造船・舶用工業分野の人手不足の状況

造船・舶用工業といのは、裾野が広い労働集約型産業でその殆どが地方圏に存在しています。
特に瀬戸内や九州地方では、造船・舶用工業が主要産業として経済、雇用において重要な役割を担っていて多くの人の生活を支えています。
しかし、そんな重要産業であるのに少子高齢化や生産年齢人口の減少、さらに若者の都市部への流出から働き手の確保に苦労している現状があります。

造船・舶用工業分野への人材確保の必要性

造船・舶用工業分野は、四方を海に囲まれた日本にとって物資の海上輸送という面や地域の経済・雇用にも欠かせない非常に重要な産業です。

そんな造船・舶用工業分野の持続的な発展を図るためには、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れていくことが、当分野の基盤を維持し、今後も発展させていくために必要不可欠であるといえます。

受入れ見込数

造船・舶用工業分野における向こう5年間の受入れ見込数は、最大1万3,000人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用するとされています。

人手不足の数だけにフォーカスすれば、向こう5年間で2万2,000人が足りないとされている中、今回の受入れでは、実際の労働効率化なども考慮して5年間で最大1万3,000人を受け入れるに留まるとされています。

いくら知識や経験があるといっても新人の教育というのは業種問わず大変なんでしょう。。

見込み数を超えそうな場合は

懸念される部分の一つですが、もしこの分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

造船・舶用工業分野に求められる人材基準

造船・船用工業分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。
※2号特定技能外国人については、日本語試験の代わりに実務経験の要件が必要。

なお、特定技能1号については、建設分野に関する第2号技能実習を修了した者も必要な技能水準と日本語能力水準を満たしているものとして取り扱うとされています。

1号特定技能外国人

  1. 技能水準(試験区分)
    「造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)」
    項番a.試験区分b.業務区分
    1造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)(溶接)溶接(手溶接、半自動溶接)
    2造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)(塗装)又は技能検定3級(塗装)塗装(金属塗装作業、噴霧塗装作業)
    3造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)(鉄工)又は技能検定3級(鉄工)鉄工(構造物鉄工作業)
    4造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)(仕上げ)又は技能検定3級(仕上げ)仕上げ(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業)
    5造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)(機械加工)又は技能検定3級(機械加工)機械加工(普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業)
    6造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)(電気機器組立て)又は技能検定3級(電気機器組立て)電気機器組立て(回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業)
  2. 日本語能力水準

    「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」


2号特定技能外国人

  1. 技能水準(試験区分)

    「造船・舶用工業分野特定技能2号試験(仮称)(溶接)」
    ※上記試験の項番1参照


  2. 実務経験

    複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験を要件とする。


その他、造船・舶用工業分野の運用方針に関する重要事項

1号特定技能外国人が従事する業務

特定技能外国人が従事する業務区分は、「造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)」及び「造船・舶用工業分野特定技能2号試験(仮称)(溶接)」に定める試験区分に対応し、それぞれの業務区分の欄に掲げる業務とする。

特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件
  1. 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「造船・舶用工業分野特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
  2. 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
  3. 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
  4. 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記ア、イ及びウの条件を全て満たす登録支援機関に委託すること。
特定技能外国人の雇用形態

原則直接雇用に限る。

治安への影響を踏まえて講じる措置

国交省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。

特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる

以上です。

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この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年,行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ]
東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他

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