特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の内のひとつビルクリーニング分野について。

ビルクリーニング分野の運用方針

特定技能外国人をビルクリーニング分野へ受け入れる趣旨と目的

深刻化するビルクリーニング分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、もって日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

ビルクリーニング分野の人手不足の状況

ビルクリーニングの分野には、「建築物衛生法」という建物の衛生面を規定する法があり、同法上、適用対象となる特定建築物が年々増加している背景があります。
そんな中、ビル・建物清掃員の有効求人倍率は近年高い水準で推移し、平成 29 年度には 2.95倍にも達していることから、この分野も人材確保が困難な状況となっていることが分かります。

有効求人倍率とは
簡単にいうと、1より大きくなると仕事の数の方が多く、働き手が足りない状況。
1を切ると、求職者の方が多く、仕事探しが困難な状況。

また、近年の国勢調査ではビル・建物清掃員の従業者のうち女性が7割65歳以上の高齢者が4割を占めていて、以前からこの分野では女性や高齢者が積極的に多く雇用されているそうですが、最近では女性や高齢者がほかの分野でも多くの就労機会を得られるようになったこともあり、当分野の人手不足を加速化させている要因となっているそうです。

ビルクリーニング分野への人材確保の必要性

人手不足だからといって、ビルクリーニング業務が適切に行われなくなれば、当然ながら建築物の衛生状態は悪化し、利用者の健康が損なわれるおそれがあります。その防止のためにも、特定技能外国人の受入れによる人材確保は急務でしょう。

ちなみに、全国のビル・建物清掃員の有効求人倍率が一番高いのは、東京ではなく、中国地方の3.80倍となっています。最も低い東北地方でさえ2.03  倍となっているので、全国的に人手不足が深刻な状況であることが分かります。

受入れ見込数

ビルクリーニング分野における向こう5年間の受入れ見込数は、最大3万7,000人であり、これを向こう5年間の受入れ上限として運用するとされています。

向こう5年間で9万人程度の人手不足が見込まれる中、今回の受入れは、5年間で4万人程度の受入れであるため、過大な受入れ数とはなっていないといえるでしょう。

見込み数を超えそうな場合は

懸念される部分の一つですが、もしこの分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

ビルクリーニング分野に求められる人材基準

ビルクリーニング分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。
※ビルクリーニング分野の第2号技能実習を修了した者も要件を満たすとされています。

1.技能水準(試験区分)

「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」

2.日本語能力水準

「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」

その他ビルクリーニング分野の運用方針に関する重要事項

1号特定技能外国人が従事する業務

建築物内部の清掃

特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件
  1. 特定技能所属機関は、都道府県知事より、建築物衛生法第 12 条の2第1項第1号に規定する建築物清掃業又は同項第8号に規定する建築物環境衛生総合管理業の登録を受けていること。
  2. 特定技能所属機関は、厚生労働省が設置する、ビルクリーニング分野の業界団体、試験実施主体、制度関係機関その他の関係者で構成する「ビルクリーニング分野特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
  3. 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
  4. 特定技能所属機関は、厚生労働省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
特定技能外国人の雇用形態

原則直接雇用に限る。

治安への影響を踏まえて講じる措置

厚労省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。

また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。

特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる

以上です。

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この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ] 東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他

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