特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の中のひとつである建設分野について。

建設分野の運用方針

特定技能外国人を建設分野へ受け入れる趣旨と目的

深刻化する建設分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした現場に即戦力として就労する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

なお、建設分野が深刻な人手不足状況にあることに変わりはありませんが、近年では国交省や業界団体等による生産性向上や国内の人材確保の取組により、一定の成果が確認されている側面もあります。

建設分野の人手不足の状況

とはいっても、平成29年度の建設分野の有効求人倍率は4.13倍となっていて、人手不足が深刻な状況であることは間違いなく、5年後には21万人の人手不足が見込まれているそうです。

有効求人倍率とは 
簡単にいうと、1より大きくなると仕事の数の方が多く、働き手が足りない状況。
1を切ると、求職者の方が多く、仕事探しが困難な状況。

建設分野への人材確保の必要性

今後5年間で21万人の人手不足という数値が見込まれているものの、実は新技術の導入やIoTの活用といった生産性向上の取組により16万人程度の労働効率化は達成可能とされているようです。

しかし、それでもやはり人手不足の数は補えていないため、一定の専門性・技能を有する外国人を受入れてカバーすることが、当分野の基盤を維持し、今後も発展させていくために必要不可欠であるとされています。

受入れ見込数

建設分野における1号特定技能外国人の向こう5年間の受入れ見込数は最大4万人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用するとされています。

向こう5年間で21万人程度の人手不足が見込まれる中、今回の受入れでは5年間で最大4万人という数値なので決して過大な受入れ数とはいえないでしょう。

見込み数を超えそうな場合は

懸念される部分の一つですが、もしこの分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

建設分野に求められる人材基準

建設分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。
※2号特定技能外国人については、実務経験の要件も必要。

なお、特定技能1号については、建設分野に関する第2号技能実習を修了した者も必要な技能水準と日本語能力水準を満たしているものとして取り扱うとされています。

1号特定技能外国人

  1. 技能水準(試験区分)
    「建設分野特定技能1号評価試験(仮称)」
    項番a.試験区分b.業務区分
    1建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(型枠施工)又は技能検定3級(型枠施工)型枠施工(指導者の指示・監督を受けながら、コンクリートを打ち込む型枠の製作、加工、組立て又は解体の作業に従事)
    2建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(左官)又は技能検定3級(左官)
    左官(指導者の指示・監督を受けながら、墨出し作業、各種下地に応じた塗り作業(セメントモルタル、石膏プラスター、既調合モルタル、漆喰等)に従事)
    3建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(コンクリート圧送)コンクリート圧送(指導者の指示・監督を受けながら、コンクリート等をコンクリートポンプを用いて構造物の所定の型枠内等に圧送・配分する作業に従事)
    4建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(トンネル推進工)トンネル推進工(指導者の指示・監督を受けながら、地下等を掘削し管きょを構築する作業に従事)
    5建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(建設機械施工)建設機械施工(指導者の指示・監督を受けながら、建設機械を運転・操作し、押土・整地、積込み、掘削、締固め等の作業に従事)
    6建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(土工)土工(指導者の指示・監督を受けながら、掘削、埋め戻し、盛り土、コンクリートの打込み等の作業に従事)
    7建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(屋根ふき)又は技能検定3級(かわらぶき)
    屋根ふき(指導者の指示・監督を受けながら、下葺き材の施工や瓦等の材料を用いて屋根をふく作業に従事)
    8建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(電気通信)
    電気通信(指導者の指示・監督を受けながら、通信機器の設置、通信ケーブルの敷設等の電気通信工事の作業に従事)
    9建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(鉄筋施工)又は技能検定3級(鉄筋施工)
    鉄筋施工(指導者の指示・監督を受けながら、鉄筋加工・組立ての作業に従事)
    10建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(鉄筋継手)
    鉄筋継手(指導者の指示・監督を受けながら、鉄筋の溶接継手、圧接継手の作業に従事)
    11建設分野特定技能1 号評価試験(仮称)(内装仕上げ)又は技能検定3級(内装仕上げ施工)
    内装仕上げ(指導者の指示・監督を受けながら、プラスチック系床仕上げ工事、カーペット系床仕上げ工事、鋼製下地工事、ボード仕上げ工事、カーテン工事の作業に従事)
    表装(指導者の指示・監督を受けながら、壁紙下地の調整、壁紙の張付け等の作業に従事)
  2. 日本語能力水準
    「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」

2号特定技能外国人

  1. 技能水準(試験区分)
    「建設分野特定技能2号評価試験(仮称)」
    項番a.試験区分b.業務区分
    1建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(型枠施工)又は技能検定1級(型枠施工)型枠施工(複数の建設技能者を指導しながら、コンクリートを打ち込む型枠の製作、加工、組立て又は解体の作業に従事し、工程を管理)
    2建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(左官)又は技能検定1級(左官)左官(複数の建設技能者を指導しながら、墨出し作業、各種下地に応じた塗り作業(セメントモルタル、石膏プラスター、既調合モルタル、漆喰等)に従事し、工程を管理)
    3建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(コンクリート圧送)又は技能検定1級(コンクリート圧送施工)コンクリート圧送(複数の建設技能者を指導しながら、コンクリート等をコンクリートポンプを用いて構造物の所定の型枠内等に圧送・配分する作業に従事し、工程を管理)
    4建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(トンネル推進工)トンネル推進工(複数の建設技能者を指導しながら、地下等を掘削し管きょを構築する作業に従事し、工程を管理)
    5建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(建設機械施工)建設機械施工(複数の建設技能者を指導しながら、建設機械を運転・操作し、押土・整地、積込み、掘削、締固め等の作業に従事し、工程を管理)
    6建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(土工)土工(複数の建設技能者を指導しながら、掘削、埋め戻し、盛り土、コンクリートの打込み等の作業に従事し、工程を管理)
    7建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(屋根ふき)又は技能検定1級(かわらぶき)屋根ふき(複数の建設技能者を指導しながら、下葺き材の施工や瓦等の材料を用いて屋根をふく作業に従事し、工程を管理)
    8建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(電気通信)電気通信(複数の建設技能者を指導しながら、通信機器の設置、通信ケーブルの敷設等の作業に従事し、工程を管理)
    9建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(鉄筋施工)又は技能検定1級(鉄筋施工)鉄筋施工(複数の建設技能者を指導しながら、鉄筋加工・組立ての作業に従事し、工程を管理)
    10建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(鉄筋継手)鉄筋継手(複数の建設技能者を指導しながら、鉄筋の溶接継手、圧接継手の作業に従事し、工程を管理)
    11建設分野特定技能2 号評価試験(仮称)(内装仕上げ)又は技能検定1級(内装仕上げ施工、表装)内装仕上げ(複数の建設技能者を指導しながら、プラスチック系床仕上げ工事、カーペット系床仕上げ工事、鋼製下地工事、ボード仕上げ工事、カーテン工事の作業に従事し、工
    程を管理)
  2. 実務経験
    建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験を要件とする。

その他、建設分野の運用方針に関する重要事項

1号特定技能外国人が従事する業務

特定技能外国人が従事する業務区分は、「建設分野特定技能1号評価試験(仮称)」及び「建設分野特定技能2号評価試験(仮称)」に定める試験区分に対応し、それぞれの業務区分の欄に掲げる業務とする。

建設分野の特性を踏まえて特に講じる措置

<建設業者団体及び元請企業に対して特に課す条件>

1,建設業は多数の専門職種に分かれており、建設業者団体も多数に分かれていること等から、特定技能外国人の受入れに係る建設業者団体は、建設分野における外国人の適正かつ円滑な受入れを実現するため、共同して以下の取組を実施する団体を設けること。

  • 建設分野における特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れの実現に向けた共同ルールの策定及び遵守状況の確認
  • 建設分野特定技能1号評価試験(仮称)(以下「試験」という。)の実施に係る建設業者団体間の調整
  • 海外の現地機関との調整、試験場所の確保、受験者の募集、試験の実施等
  • 試験合格者及び試験免除者の就職先の斡旋・転職支援等

2,建設現場では、元請企業が現場管理の責任を負うことから、特定技能所属機関が下請企業である場合、元請企業は、特定技能所属機関が受け入れている特定技能外国人の在留・就労の資格及び従事の状況(就労場所、従事させる業務の内容、従事させる期間)について確認すること。

<特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件>

建設業では、従事することとなる工事によって建設技能者の就労場所が変わるため現場ごとの就労管理が必要となることや、季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動するという実態もあり、特に外国人に対しては適正な就労環境確保への配慮が必要であることから、以下のとおりとする。

  1. 特定技能所属機関は、建設業法(昭和 24 年法律第 100 号)第3条の許可を受けていること。
  2. 特定技能所属機関は、国内人材確保の取組を行っていること。
  3. 特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対し、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の報酬額を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給を行う契約を締結していること。
  4. 特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対し、雇用契約を締結するまでの間に、当該契約に係る重要事項について、母国語で書面を交付して説明すること。
  5. 特定技能所属機関は、当該機関及び受け入れる特定技能外国人を建設キャリアアップシステムに登録すること。
  6. 特定技能所属機関は、外国人の受入れに関するア①の団体(当該団体を構成する建設業者団体を含む。)に所属すること。
  7. 特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数と特定活動の在留資格で受け入れる外国人(外国人建設就労者)の数の合計が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、外国人建設就労者、1号特定技能外国人を除く。) の総数を超えないこと。
  8. 特定技能所属機関は、国土交通省の定めるところに従い、1号特定技能外国人に対する報酬予定額、安全及び技能の習得計画等を明記した「建設特定技能受入計画」の認定を受けること。
  9. 特定技能所属機関は、国土交通省又は国土交通省が委託する機関により、⑧ において認定を受けた計画を適正に履行していることの確認を受けること。
  10. 9のほか、特定技能所属機関は、国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
  11. そのほか、建設分野での特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れに必要な事項
特定技能外国人の雇用形態

原則直接雇用に限る

治安への影響を踏まえて講じる措置

国交省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。

特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる

以上です。

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この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で10年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ] 東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次)他

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