お客さんの会社から、"ワーホリで来てる韓国人スタッフを正式に雇用したい”と相談がありました。

ワーキングホリデーで来日中の外国人を雇用できるか

ワーキングホリデーというと、一般的にアルバイト等での就労は可能だという認識はあっても、しっかり雇用して社員として雇うことができるのかという点については疑問に感じる方が多いようです。

結論からいうと、

ワーキングホリデーで来日中の外国人を正社員として雇うことは可能です。

ただし、次の国籍の場合は制度上認められていません。

・イギリス、フランス、台湾、香港

よって、韓国人であれば可能性はあります。
あとは次のポイントをクリアしているかどうかです。
主なポイント3つ。

  1. 学歴や職歴の要件を満たしているか。
  2. 従事する業務が適切であり、かつ、本人の学歴や職歴と担当業務に関連性があるか。
  3. 給料が日本人と同等額以上であるか。

それぞれ簡単に補足します。

1.学歴や職歴の要件を満たしているか

まず最初に、外国人本人のワーキングホリデービザを就労可能な在留資格に変更する必要があります。
どんな在留資格に変更すれば良いのかは、就く職業によって異なりますが、おそらく大抵のケースが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を目指せば問題ないでしょう。
※ワーキングホリデーは「特定活動」という在留資格。
※「特定活動」の残りの期限によっては、変更ではなく在留資格認定証明書交付申請を行う。

在留資格一覧はこちら

その「技術・人文知識・国際業務」という在留資格をとるための要件として、まず学歴 or 職歴が求められます。
学歴は、大学卒業か又は日本での専門学校を卒業しているかということ。
大学は日本以外の大学でもOKですが、専門学校は日本の専門学校であることが必要です。

どちらの学校を卒業していない場合でも、職歴が10年あれば問題ありません。
ただし、この場合の職歴は従事しようとする業務に関連した職歴でなければなりません。

2.従事する業務が適切であり、かつ、本人の学歴や職歴と担当業務に関連性があるか

重要なのがここです。

まずは、業務内容が適切かどうかという点。
逆に適切じゃないとされてる業務内容を挙げた方が分かり易いでしょう。

適切じゃないと判断されがちな業種

  • バー、スナック、キャバレー等の風俗営業または性風俗特殊営業など、いわゆる水商売系 ⇒ ×
  • 製造業の単純作業 ⇒ ×
  • 運送業の単純作業 ⇒ ×
  • 建設業の単純作業 ⇒ ×
  • 小売業(スーパーなど)のレジ、陳列作業 ⇒ ×
  • 飲食業の調理やホール ⇒ △
  • 宿泊業のホテルフロント・ドアマン ⇒ △

他にも幾つかあると思いますが、この例から言いたいのは水商売系は論外として、単純作業や単純労働とみなされがちな業務に就いてもらうということは極めて困難だということ。
ただ、ここで注意していただきたいのは、×のついた業種すべてが許可されない訳ではありません。
製造業にも特殊な技術が必要な技術部門があれば、建設・飲食業にだって高度な事務方の業務がありますし、宿泊業のフロント業も通訳翻訳として一日に多くの外国人観光客を捌く必要があるホテルは許可される可能性が高いので、重要なのは担当する業務内容に一定のスキルや経験が必要とされているかどうかという点です。
つまり、「技術・人文知識・国際業務」ビザというのは、一定の知識・経験・スキルをもつ外国人が、それを活かす業種であると入管に認められれば許可されるものです。
「技能実習」や「特定技能」という在留資格と違い、「技術・人文知識・国際業務」は、ホワイトカラーといわれる業務に就労するためのビザ(在留資格)です。

ちなみに、大卒の場合は、専攻科目と担当業務との関連性は比較的緩やかに判断されると審査要領に記してあるため、大卒である場合は、かなり広範な業種が射程内入ります。

3.給料が日本人と同等額以上であるか。

外国人だからといって不当に安い賃金では雇えない。ということです。
かと言って、外国人だから高めの賃金を設定する必要もありません。

あくまでも、その業務に日本人が従事する場合に得られる賃金と同じぐらいにはしなさいよ、という規定です。

同じ業務に従事する日本人がいないよ。
という場合は、近い業務に従事する労働者と比較して同等性を検討してください。

そもそもワーキングホリデー制度とは

ワーキングホリデー制度とは、日本との取り決めに基づいた国・地域の青少年がそれぞれの文化や一般的な生活様式を理解するために、一定期間の休暇を過ごすとともにその休暇を過ごすために必要な滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度のことです。

要は、年齢18~30歳ぐらいまでの青少年が興味のある国で働きながら、生活を送り、働きながら見識を広めてみようってことかな。
なので、単純な観光だけでも言葉や文化を学ぶ目的であってもワーキングホリデーであれば、就労ビザをとらなくても、その外国で働きながら過ごすことができます。

日本とワーキングホリデーの協定を結んでいる国

現在、日本がワーキングホリデーの協定を結んでいる国は以下の23か国・地域あります。

 
 制度開始年年間発給枠
オーストラリア1980
ニュージーランド1985
カナダ1986各々6,500
韓国1999各々10,000
フランス2000各々1,500
ドイツ2000
英国2001各々1,000
アイルランド2007各々400
デンマーク2007
台湾2009各々10,000
香港2010各々1,500
ノルウェー2013
ポルトガル2015
ポーランド2015各々500
スロバキア2016各々400
オーストリア2016各々200
ハンガリー2017各々200
スペイン2017各々500
アルゼンチン2017各々200
チリ2018各々200
アイスランド2018各々30
チェコ2018各々400
リトアニア2019各々100

(平成31年4月1日現在)

意外に多いですよね。特にここ2.3年増えてるようです。
オーストラリアやニュージーランド、カナダといった国のワーホリは有名ですが、フランス、ドイツ、イギリス、といったヨーロッパの国々も結構目立ちます。
アメリカ、中国、イタリアがないのは意外ですが、現在も協定を結ぶ国は増え続けてるようなので、今後も増えていく可能性が高いでしょう。

日本にワーキングホリデーに来る人たち

日本にワーキングホリデーに来ている人で多いのは、韓国や台湾など比較的近い国の人たちで、日本人がワーキングホリデーをするのはオーストラリアが人気です。
また、ワーキングホリデービザは、国ごとに発給数が決められています。韓国や台湾は1万件、オーストラリアやニュージーランドは無制限。

ワーキングホリデーのためのビザを申請するには?

日本のワーキングホリデービザを発給するための要件は、概ね以下のとおりです。

  • 協定を結んでいる国の国民・住民であること。
  • 一定期間相手国において休暇を過ごす意図を有すること。
  • 査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
    ※ オーストラリア、カナダ、韓国との間では18歳~25歳以下。
    ※ アイスランドとの間では18歳~26歳以下。

    ※ それ以外は30歳以下まで
  • 子又は被扶養者を同伴しないこと。
  • 有効なパスポートと帰りの切符(又は切符を購入するための資金)を所持すること。
  • 滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること。
  • 健康であること。
  • 以前にワーキング・ホリデー査証を発給されたことがないこと。

他、保険加入が必要である場合、犯罪歴がないことが求められます。

ワーキングホリデーの手続はどこで

  1. 日本人の方は、駐日外国公館等でワーキングホリデービザの申請が可能です。
    国・地域によっては、駐日外国公館等以外(日本国外の大使館やインターネット等)で申請を受け付けている場合もあります。
  2. 当該相手国・地域の方は、当該相手国・地域にある最寄りの日本大使館等に対して申請を行う必要があります。

それ以外のワーキングホリデー制度についてはの詳細はこちら 
外務省HPへ

ワーキングホリデーをする上での注意点

日本でのワーキングホリデーでは、働く上で注意すべき点があります。
ワーホリはあくまでも休暇を楽しむための制度であるため、働くことが目的とならないように。です。

働くことができる業種は、風俗営業以外の制限はありませんが、働ける期間が1年程と決まってます。
なのでアルバイトが主流になりますが、中には不当に安い賃金で働かされたり、雇用主等からセクハラやパワハラの報告もあるようなので事前に情報収集が必須です。

また、ある程度まとまったお金を稼ぐと税金を納める必要が出てくるので、その点も注意が必要です。

ワーキングホリデーでは都市以外もおすすめ

日本でワーキングホリデーに来る人は、やはり多くが東京で生活しています。
しかし、日本は地方でも交通網が発達していますし、観光地や地元の名産、豊富な自然などがたくさんあり、仕事もたくさんあります。
また、地方の方が生活に余裕がある人が多く、優しく身近に接して貰えることも地方でのワーホリーの魅力だそうです。
私もどうせ行くなら、外国の田舎で過ごしたいものです

同じようなことは外国でも相手国でもいえるのでまだ、ワーキングホリデー先を決めていない人は、地方でのワーキングホリデーを候補としてみるのもいいでしょう。

日本でのワーキングホリデーにおける滞在先

日本でワーホリする人の滞在先は、いろいろなところが考えられます。
観光で来日しているので、ホテルやゲストハウスに滞在する人が多いようですが、金銭的なことを考えると賃貸マンションホームステイなどの制度も候補としておすすめです。

ただ、賃貸マンションなどの場合は、物件にかかるお金だけでなく、光熱水費や家具や家電などを揃えるお金がかかります。
他の候補としては、シェアハウスやウィークリーマンションなどもあるので、色々な判断材料と好みで選んでみてください。

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この記事を書いた人

SHINGO ITO
SHINGO ITO行政書士Office ITO 代表
IT業界で15年目リストラに遭遇し、行政書士資格を取得。
2016年,行政書士Office ITOを開設し、外国人ビザ申請に特化。
銀座を拠点に就労ビザ・配偶者ビザ・永住ビザなど実績10年。
趣味はおいしいパスタ料理(自称)と断捨離。家は小遣い制。
[ 所属団体 ]
東京行政書士会(会員番号 第11086号)
日本行政書士会連合会(登録番号 第16081519号)
[ 資格 ]
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Certified Immigration Procedures Agent(入管申請取次届出行政書士)

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