今回は「永住者」についてざっくりと解説。
「永住者」とは
「永住者」とは、文字通り外国人が日本で永住することができる在留資格のことです。
多くの在留外国人にとって最も手に入れたいビザだと思います。
なぜなら、永住可能になるだけでなく「永住者」は在留活動の制限もなくなるので、在留期間&在留活動という2点揃って制限が無い唯一の在留資格だからです。
そんな「永住者」のメリットをまとめると次の5つあります。
「永住者」の5つのメリット
- 在留期間が無期限。
- 活動範囲に制限がなくなるため、日本人と同じように働くことが可能。
- 社会生活の中で信用が上がり、住宅ローンを組みやすくなる。
- 家族(永住者の配偶者や子供)が永住者になりやすい。
- もし、退去強制となった場合でも法務大臣による在留の特別許可が得やすい。
特に3は“ローンが組みやすい”というか、外国人が住宅購入の銀行ローンを申し込む際、永住者であることが必須条件としているところもあります。
「永住者」の許可要件
「永住者」になるために必要な条件をざっくりと案内します。
もっと詳しく知りたい場合は⇒「永住者」じっくり解説
- 素行が善良であること。
犯罪や法律違反を犯していないか?ということです。
この点は多くの人が問題にならない点だと思います。 - 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること。
ここも普通に生活を送っていればあまり問題にならない点です。
生活保護などの公共の負担となっておらず、自分が仕事をしているか、もしくは、仕事をしている配偶者や親の扶養を受けて安定して生活できていることの証明が必要です。 - その外国人の永住が日本にとって利益に合致すると認められること。(国益適合要件)
この3が最も大事です。
細かくは幾つかありますが、具体的に抑えるべき点は次の3つ。
これを全て満たす必要があります。
- 原則として引き続き10年以上日本に在留しており、かつ、この期間のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること。
ただし、この「引き続き10年」はハードルが高いので「原則10年在留」に関する緩和という特例があります。この特例の条件に該当すれば10年在留という点が大きく緩和されます。- 「引き続き10年」の特例
※ 計7個のうちここでは2つ紹介。詳しくはコチラ- 日本人や永住者の配偶者の場合:婚姻期間が3年以上あり、かつ、直近1年以上日本に居住していること。
(「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」である必要まではありません。) - 「定住者」の在留資格で日本に住んでいる場合:5年以上日本に居住していること。
- 日本人や永住者の配偶者の場合:婚姻期間が3年以上あり、かつ、直近1年以上日本に居住していること。
- 「引き続き10年」の特例
- 納税義務、社会保険への加入及び保険料の納付義務等の公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していること。
これは、住民税や社会保険料(健康保険料/厚生年金/介護保険料/労災保険など)をちゃんと納付しているかということです。会社員であれば天引きされているはずなのでほぼ問題ないでしょう。 - 現に有している在留資格の在留期間が最長であること。
在留資格には「5年」や「3年」、「1年」といった在留期間が必ず設定されていますが、これが「5年」でないとダメだという意味ですが、当面は「3年」でも最長の在留期間として取り扱われます。
永住申請に必要な「理由書」とは
永住申請をする際、多くのケースで「理由書」が必要です。
これは要するに、入管に対して「なぜ私は永住者になりたいのか」という理由を説明するものです。
「理由書」のポイント(永住)
フォーマットは特にないので戸惑うかもしれませんが、ポイントは2つだけです。
※ 外国語は翻訳文が必要
※ 手書きでもOK
- 出来事などをコンパクトに交えつつ、永住したい理由を素直に。
※ A4で1枚程度、1000~1440文字で十分<出来事の例>
・初来日から現在までの大まかな経緯
・現在の収入、担当仕事、生活状況
・家族の構成、家族は永住についてどう思っているのか?
・なぜ日本に永住したいのか?今後日本での生活をどう過ごしたいのか? - 事実だけを記載。
うそは絶対NGです。
「理由書」サンプル(永住)
私は、〇〇〇籍の〇〇〇と申します。この度、永住者の申請要件を検討した結果、クリアしているものと思料致しましたので、本申請を行わせていただきます。
日本での永住を求める理由
以前から日本文化や経済規模には興味がありましたが、本国にいた頃から仕事の関係で日本の会社とは様々な付き合いを重ね、日本には親近感があります。私の父は、日本系列会社の〇〇〇工業で約〇〇年間働いているため、日本に詳しく私が日本で就労することについても支持しています。また、私の妻も日本とは縁があり、妻には日本に5親等の日本国籍の親戚がいます。その一人には今回の必要な身元保証人になってもらっています。
永住者となって自宅の購入も考えています。そして、私達夫婦の子供も日本で育てて行くプランがあります。このまま家族と共に、日本で安定した生活を送っていく事を切に願っています。私の経歴について
私は学生のころから〇〇〇が得意です。今はそれが仕事になっています。〇〇〇大学では〇〇〇を専攻し、卒業後から今まで〇〇〇として長年経験を積んでいます。
今は〇〇〇株式会社にて〇〇〇の業務を担当しています。チームリーダーを任されやりがいもあり一生この仕事を続けていきたいと考えています。私の配偶者について
私の妻〇〇〇とは、学生時代の友人で〇〇年〇〇月に結婚しました。妻も日本が好きで私の日本行きも賛成してくれました。今は彼女自身も在留資格「〇〇」にて株式会社〇〇〇で〇〇〇の業務をしています。
現在の年収について
今の私の年収は〇〇〇万円程です。年金や公的医療保険等は全て会社から天引きにて納めており、毎月約〇〇万円貯金する様にしています。
妻の年収も〇〇万円程あるので経済的には、特に不自由する事なく生活しています。日本の法令、社会のルールをよく学び遵守し、日本社会の一員として生活を送りたいと考えています。
安定した「永住者」の在留資格を心から希望しておりますので、永住許可を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
というところで、「永住者」のざっくり解説はこのぐらいにします。
その他、今回紹介できなかったポイント・必要書類・身元保証人などのじっくり解説はコチラ
次は「日本人の配偶者等」の在留資格をご紹介します。
最期までお読みいただきありがとうございました。
また次回もよろしくお願い致します。
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About the author
-
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Immigration lawyer(入国管理局申請取次届出)
・Certified Skilled Worker of Financial Planning(2級FP技能士)
・Personal Information Protection Professional(個人情報保護士)
IT業界で10年間コーディネーターとして幅広く業務を担当。
2016年これまでに得た経験を活かすため行政書士に転身。
その後1年間の下積みを経て行政書士伊藤真吾事務所を開設。
趣味は、深夜の一人映画館と断捨離とバイク。家は小遣い制。
【Affiliation】
日本行政書士会連合会 登録番号 第16081519号
東京都行政書士会 会員番号 第11086号
【Other qualifications】
調理師免許
大型自動車免許
中型自動二輪免許
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