在留資格の手続で気になるのは、その審査期間です。審査が長引くと、生活や仕事に影響を及ぼすので大体の期間だけでも知っておくこと重要です。

今回は、入管からの最新データをもとに2024年4月から6月における在留手続の審査期間について解説します。

2024年4月~6月の在留資格の審査期間

2024年4月から6月にかけての審査期間のデータが公表されました。これにより、各在留資格ごとの審査期間の平均日数が明らかになっています。
※全国の入管の処理期間の平均です。
※東京の場合、3割UPで考えても良いかもしれません。

在留資格ごとの平均審査期間

外国人を日本に招へいする場合、審査期間は以下の通り。

  • 経営・管理平均100日
    事業を営む外国人が対象となる「経営・管理」の在留資格は、審査に最も長い時間を要することが多く、今回のデータでも平均100日を超えています。これは、ビジネスの信頼性や経営能力を慎重に評価する必要があるためです。
  • 技術・人文知識・国際業務平均71日
    専門知識を持つ外国人が対象の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、平均71日程度の審査期間が必要です。このビザは多くの大卒外国人にとって最も一般的なものの一つです。
  • 高度専門職平均34日
    高度な専門知識を持つ外国人が取得する「高度専門職」は、比較的短い期間で審査が完了します。平均34日という短い審査期間は、日本がこの分野での外国人材を積極的に受け入れていることをあらわしています。
  • 技能実習平均29日
    技能実習生が取得する在留資格は、平均29日程度で審査が完了します。これは事前に実習機構による計画認定という許可を受けているからです。
    因みに、この計画認定の許可には2ヶ月程度かかります。
  • 技能平均101日
    調理師、コック、パイロット、革職人等といったその道のプロが対象となるこのビザは審査期間がとても長いのが特徴です。なぜなら、プロであることは経歴書やそれを裏付ける在職証明書・資格証・免許証等によって審査されるのですが、入管はそういった証明書がそもそも真正であるものかどうかも調べます。
    特に調理師の場合は10年以上の経歴が必要となるため、10年分の経歴が真正であるかどうかを審査しなければなりません。よって、このビザはどうしても審査に時間がかかります。
  • 留学平均59日
    留学生が日本に留学するためのビザです。許可でるまでは平均60日ですが、日本での生活費の支弁方法に気になる点があると、更に審査期間が伸びる特徴があります。
  • 家族滞在平均85日
    就労系のビザをもつ配偶者やその子供が対象となる家族滞在のビザも比較的長い審査期間となります。これは、本体となる就労系ビザの方との関係や世帯として安定して日本で生活ができるかどうかといった収入面も広範に審査が必要となるためです。
  • 日本人の配偶者等永住者の配偶者等定住者平均90日
    家族滞在ビザの場合と同じく、これらのビザは身分系資格と呼ばれ、本人だけでなくその根拠となる配偶者やその繋がりが重要な審査となるため時間がかかるようです。

審査期間のばらつきの要因

審査期間は、単に在留資格の種類だけで決まるわけではありません。申請内容の複雑さや、提出内容の不備、追加資料の提出要請など、さまざまな要因が影響します。
特に追加資料の提出が求められた場合、その資料が提出されるまでの期間も審査期間に含まれるため、審査が長引くことがあります。

審査期間を短縮するための対策

審査期間を少しでも短くしたいときは、次の点を考慮してみてください。

  • 審査に必要な書類を漏れなく準備すること
  • 資料の有効期間が過ぎていないか
  • 外国語には和訳を付けているか
  • 基準を満たした資料を添付しているか
  • 理由書をつけるときはわかりやすい主張となっているか

などなど
入管は在留審査の迅速化に向けた取り組みを進めています。電子申請の導入や審査体制の強化などがその一環です。これにより審査期間の短縮が課題とされていますが、どうしても1件1件が人の手による審査となるため、依然として特定の在留資格については審査期間が長引くことがあります。

早めの申請と書類の準備が鍵

審査期間をできるだけ短縮するためには、早めの申請と必要書類の適切な準備が不可欠です。特に書類の不備があると、追加資料の提出が求められることがあり、その分審査期間が長くなります。
専門家の力を借りるなどして提出前に書類のチェックを行い、完璧な状態で提出することも有用です。

その他の在留資格

  • 芸術
    芸術分野での在留資格認定証明書の交付までの平均日数は49.2日です。クリエイティブな活動に従事する方にとって、約1か月半の審査期間が必要です。
  • 宗教
    宗教関係の在留資格の場合、交付までにかかる日数は62.1日。約2か月弱の期間を見込んで準備を進めましょう。
  • 教授
    教育機関で教授として働く予定の方は、34.6日で審査が完了します。約1か月での交付が期待できます。
  • 報道
    報道関係者の審査期間は102.6日と、他の分野に比べてやや長め。3か月以上かかることを念頭に置いておきましょう。

在留資格の変更と更新の審査日数

在留資格の変更および更新の審査日数は、全体的におおむね30〜50日程度です。
もちろん、在留資格の種類・提出資料の内容・残りの在留期間によって一概には言えませんが、すでに入国時の審査をクリアし、何らかの在留資格をもって日本に滞在しているため、最初の在留資格認定証明書交付のような時間はかからない傾向にあります。

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About the author

k.rumi
k.rumiアシスタント
行政書士Office ITOでリモートワークしながら、愛知県を拠点に美容師としても10年以上の経験を持つ異色のパラレルワーカー。自身の台湾へのルーツからビザ、在留資格について勉強中。2021年9月からアシスタントIN。