入管法改正案。ちゃんと審議されているか

大きな政策転換となる入管法の改正案が衆院を通過しましたね。
しかし、与野党の攻防だったり担当大臣の不信任案といったゴタゴタで実際に法務委員会で審議された時間はわずか20時間
非常に大きな改正案のはずですが、とても十分な議論が尽くされるとはいえません。

今回の入管法改正案の概要

簡単にいうと

深刻な人材不足の業界のために、外国人を労働力として受け入れるための新しい在留資格を作りましょう。

ということです。

新しい在留資格の名称

  • 特定技能1号・・・一定の技能を持つ外国人
  • 特定技能2号・・・熟練した技能を持つ外国人

ご存知日本では人手不足が叫ばれて久しいので、この政策が遅かれ早かれマストであることの認識は野党も同じです。

問題は拙速すぎること。

例えば、法律の具体的な部分は未定のままですが、重要な詳細は省令というものにゆだねられています。
この省令というのは、政府がほぼ裁量で決められるものです。
また、対象となる業種も1号については大方決定してますが、2号については今のところ建設業と造船業のみです。

新たな産業分野
「特定技能1」の場合
外食業、農業、建設業、介護、ビルクリーニング、漁業、飲食料品製造、素形材産業、産業機械製造、電気・電子情報関連産業、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊業

「特定技能2」の場合
建設業、造船業 

野党が阻む理由

改正案の中身がスカスカというのが大きな理由ですが、それ以外にも法務省から出されるデータに信憑性がなかったり、現行の技能実習制度の現状を正確に把握しているのか等といった点もあります。

例えば、政府は新しい在留資格のもと外国人労働者の受入れをこの先5年間で最大34万人と試算していますが、実際の数は決まっていません。
34万人ってあまりピンときませんが、Wikipediaでみたら那覇市とか秋田市とか四日市市とかの法定人口でした。
余計分かりにくいかもしれませんが・・兎に角かなりの人数です。

また、技能実習制度では実習生が劣悪な環境で就労を余儀なくされている現状があり、立憲民主党が約400人の実習生の時給を調べたところ平均時給は609円という現状があるそうです。(中には時給300円という女性実習生もいたようです)
ちなみに2018年11月現在、全国の平均時給は1,046円です。

野党の主張としては

入管法の改正案自体に異論はない。

だけど、歪んだ技能実習制度の二の轍を踏まないようにもっと色々な方面から深くちゃんと審議しようよ。

という感じでしょう。
同感です。

なぜ改正案の可決を急ぐのか

今回の改正案というのは、大袈裟な表現ではなく歴史的な政策転換となるものです。
にもかかわらず、審議時間も不十分でありながらこれほどまでに法律改正を急ぐのか。

大きな理由としては、やはり深刻な人材不足に悩んでいる各産業界の意向を強く受けていることが挙げられます。
当然ながら経団連の会長も入管法の改正案には期待を示しています。

ということは、アベノミクスで経済活性を最優先課題とする安倍内閣にとっては経団連の意向は無視できないし、労働力や人材確保という問題は喫緊の課題です。

なんでも安倍総理は今回の法案を今の国会で成立させるため、外遊日程を前倒しして帰国するらしいので、何としても今国会で可決させたいという考えが見え隠れしてます。

どんな議論が必要か

色々あると思いますが、まずは対象となる14業種についてはもう少し踏み込んだものであってほしいと思います。

  • いきなりそんなに多くの業種を対象とする必要があるのか。
  • 受入れハードルはどれくらいのものか。
    とくに受入れに要する具体的な中身を省令に丸投げしていいのか。
    (ハードルはあまり下げると質の担保が出来ないし、かといって条件を高くすると本来の目的が達成できないものになるし、ここは非常に難しいところだと思います。)
  • 給与面をどうするか。

単純労働の担い手として外国人労働者を受入れるとなると、そこに支払われる給与というのは高くなることはないでしょう。
そういった外国人労働者が増えれば増えるほど、デフレ解消のためにこれまで行われてきた日本人の賃金UPという施策に逆行することになります。
また、技能実習制度という歪んだ先例もあるので、そこからもっと教訓を得るべきで、受入れ機関となる企業への監視体制がどうなるのかについても詰める必要があると感じます。

次は参院での審議です。

 

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About the author

SHINGO ITO
SHINGO ITO
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Immigration lawyer(入国管理局申請取次届出)
・Certified Skilled Worker of Financial Planning(2級FP技能士)
・Personal Information Protection Professional(個人情報保護士)
IT業界で10年間コーディネーターとして幅広く業務を担当。
2016年これまでに得た経験を活かすため行政書士に転身。
その後1年間の下積みを経て行政書士伊藤真吾事務所を開設。
趣味は、深夜の一人映画館と断捨離とバイク。家は小遣い制。
【Affiliation】
日本行政書士会連合会 登録番号 第16081519号
東京都行政書士会   会員番号 第11086号
【Other qualifications】
調理師免許
大型自動車免許
中型自動二輪免許