特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の中のひとつである自動車整備分野について。

自動車整備分野の運用方針

特定技能外国人を自動車整備分野へ受け入れる趣旨と目的

深刻化する自動車整備分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした現場に即戦力として就労する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

自動車整備というのは、自動車を保有している人であれば実感があると思いますが、車に乗る限り定期点検は欠かせないことからも国民生活に不可欠な分野であるといえます。

自動車整備分野の人手不足の状況

当然ながら、自動車整備分野の人手というのは、地域毎の自動車台数によってその需要が決まるといっても過言ではありません。
例えば、全国的に自動車保有台数の多い愛知県や埼玉県では、自動車整備分野の有効求人倍率がそれぞれ8.35倍、6.08倍となっています。

有効求人倍率とは
簡単にいうと、1より大きくなると仕事の数の方が多く、働き手が足りない状況。
1を切ると、求職者の方が多く、仕事探しが困難な状況。

8.35倍という数値は、あくまでも愛知県のことですが、同県での自動車整備分野の人手不足はかなり深刻な状況です。
一方、自動車保有台数の少ない富山県や福井県であっても、有効求人倍率はそれぞれ6.43倍、5.77倍となっており、全国的に人手不足である分野といえます。

自動車整備分野への人材確保の必要性

全体的な自動車整備分野の有効求人倍率は3.73倍(平成29年度)となっていて、5年後には1万3,000人の人手不足が生じるという推計が出ています。
ただし、自動車の保有台数が、当面の間ほぼ横ばいで推移すること、点検整備の需要が減少する見込みがないこと、自動車整備士を目指す若者の減少であったり高齢の自動車整備士の引退などといった要因から、この数値はさらに膨らむ可能性もあるため、自動車整備分野への人材確保は喫緊の課題となっています。

受入れ見込数

自動車整備分野における向こう5年間の受入れ見込数は最大7,000人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用するとされています。

向こう5年間で1万3,000人の人手不足が見込まれる中、今回の受入れでは、実際の労働効率化なども考慮して5年間で最大7,000人を受け入れるに留まるとされています。

いきなり多数の新人を受け入れるというのは、どんな業種であっても混乱してしまうのでしょう。。

見込み数を超えそうな場合は

懸念される部分の一つですが、もしこの分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

自動車整備分野に求められる人材基準

自動車整備分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。

また、自動車整備分野の第2号技能実習を修了した者も必要な技能水準と日本語能力水準を満たしているものとして取り扱うとされています。

1.技能水準(試験区分)

「自動車整備特定技能評価試験(仮称)」

又は

「自動車整備士技能検定試験3級」

2.日本語能力水準

「日本語能力判定テスト(仮称)」

又は

「日本語能力試験(N4以上)」

その他、自動車整備分野の運用方針に関する重要事項

1号特定技能外国人が従事する業務

自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備

特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件
  1. 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「自動車整備特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
  2. 特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
  3. 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
  4. 特定技能所属機関は、道路運送車両法(昭和 26 年法律第 185 号)第 78 条第1 項に基づく、地方運輸局長の認証を受けた事業場であること。
  5. 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、以下の全ての条件を満たす登録支援機関に委託すること。

    ① 上記ア、イ及びウの条件を満たすこと。
    ② 自動車整備士1級若しくは2級の資格を有する者又は自動車整備士の養成施設において5年以上の指導に係る実務の経験を有する者を置くこと。


特定技能外国人の雇用形態

原則直接雇用に限る。

治安への影響を踏まえて講じる措置

国交省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。

特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる

以上です。

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About the author

SHINGO ITO
SHINGO ITO
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Immigration lawyer(入国管理局申請取次届出)
・Certified Skilled Worker of Financial Planning(2級FP技能士)
・Personal Information Protection Professional(個人情報保護士)
IT業界で10年間コーディネーターとして幅広く業務を担当。
2016年これまでに得た経験を活かすため行政書士に転身。
その後1年間の下積みを経て行政書士伊藤真吾事務所を開設。
趣味は、深夜の一人映画館と断捨離とバイク。家は小遣い制。
【Affiliation】
日本行政書士会連合会 登録番号 第16081519号
東京都行政書士会   会員番号 第11086号
【Other qualifications】
調理師免許
大型自動車免許
中型自動二輪免許