特定技能の制度に関する基本方針にのっとって、人材確保が困難な分野として14の特定産業分野 が定められました。
今回は、その14分野の中のひとつ外食業分野について。

外食業分野の運用方針

特定技能外国人を外食業分野へ受け入れる趣旨と目的

深刻化する外食業分野の人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした現場に即戦力として就労する外国人を受け入れることで、この分野の存続・発展を図り、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持することが挙げられています。

外食産業が人手不足であることに変わりありませんが、近年では、調理工程の機械化・作業動線の見直し・食券販売機・セルフサービス・キャッシュレス等といったサービス省力化というハード面と、パート・アルバイト従業員の給与引上げや正社員化の推進等といったソフト面に対する一定の取組成果が確認されている側面もあります。

外食業分野の人手不足の状況

とはいっても、外食業分野が慢性的な人手不足となっている状況は間違いなく、平成29年度の外食業の細かな有効求人倍率でみると「飲食店主・店長」が12.68倍、「飲食物給仕係」が7.16倍、「調理人」が3.44倍となっていて、この業界全体が軒並み深刻な労働力不足となっている状況が伺えます。

有効求人倍率とは 
簡単にいうと、1より大きくなると仕事の数の方が多く、働き手が足りない状況。
1を切ると、求職者の方が多く、仕事探しが困難な状況。

人手不足の影響は、大手飲食チェーン店も遂に24時間営業や365日営業を見直す取組がテレビのニュースでも一時取り上げられていたことは記憶に新しいと思います。

外食業分野への人材確保の必要性

外食業での調理や接客といった業務は、状況に応じて臨機応変な作業が必要であったり、個々のお客にホスピタリティといったおもてなしの価値も要求されることから、働き手にも相応のスキルが求められます。
近年の訪日外国人観光客は、都市部だけでなく各地方の観光名所にも多く集まるため、飲食サービスの面で十分なおもてなしが行き渡らないミスマッチも生じています。

このような状況に対処して、今後も質の高いサービスを提供して確保するためには、一定の専門性・技能をもった即戦力の外国人を受け入れて深刻な人手不足の解決に繋げることが日本の経済、特に地方創生のためにも必要不可欠であるといえます。

受入れ見込数

外食業分野における向こう5年間の受入れ見込数は最大5万3,000人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用するとされています。

向こう5年間で29万人の人手不足が見込まれる中、今回の受入れでは、実際の労働効率化なども考慮して5年間で最大5万3,000人を受け入れるに留まるとされています。

見込み数を超えそうな場合は

懸念される部分の一つですが、もしこの分野への受け入れ見込み数を超える状況となった場合は、入管法の規定により在留資格認定証明書の交付の停止措置が取られる予定です。
そして同規定には停止措置がとられても、再び人材確保の必要性が生じた場合には、受け入れ再開の措置がとられることも定められています。

外食業分野に求められる人材基準

外食業分野において特定技能として受け入れられる外国人には、技能試験と日本語試験に合格することが求められます。

また、外食業分野の第2号技能実習を修了した者も必要な技能水準と日本語能力水準を満たしているものとして取り扱うとされています。

1.技能水準(試験区分)

「外食業技能測定試験(仮称)」

2.日本語能力水準

「日本語能力判定テスト(仮称)」

又は

「日本語能力試験(N4以上)」

その他、外食業分野の運用方針に関する重要事項

1号特定技能外国人が従事する業務

飲食物の調理・接客・店舗管理といった外食業務全般

特定技能所属機関(所属機関)に対して特に課す条件
  1. 特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対して、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風俗営業法」という。) 第2条第4項に規定する「接待飲食等営業」を営む営業所において就労を行わせないこと。
  2. 特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。
  3. 特定技能所属機関は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成される「食品産業特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。) の構成員になること。
  4. 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
  5. 特定技能所属機関は、農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと。
  6. 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
特定技能外国人の雇用形態

原則直接雇用に限る。

治安への影響を踏まえて講じる措置

農水省は、基本方針を踏まえつつ、治安上の問題となりそうな事項を把握するよう努め関係機関と適切に共有していくものとする。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがある場合は、基本方針を踏まえつつ、厚労省と関係機関が共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じるものとする。

特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中しないよう必要な措置を講じる

以上です。

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About the author

SHINGO ITO
SHINGO ITO
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Immigration lawyer(入国管理局申請取次届出)
・Certified Skilled Worker of Financial Planning(2級FP技能士)
・Personal Information Protection Professional(個人情報保護士)
IT業界で10年間コーディネーターとして幅広く業務を担当。
2016年これまでに得た経験を活かすため行政書士に転身。
その後1年間の下積みを経て行政書士伊藤真吾事務所を開設。
趣味は、深夜の一人映画館と断捨離とバイク。家は小遣い制。
【Affiliation】
日本行政書士会連合会 登録番号 第16081519号
東京都行政書士会   会員番号 第11086号
【Other qualifications】
調理師免許
大型自動車免許
中型自動二輪免許

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